大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)2118号 判決

一、控訴人は右各手形振出については何ら原因関係がなく、被控訴人はその事実を知り控訴人を害することを知りながらこれを取得したものであるから、控訴人は被控訴人に対し本件各手形金の支払義務がないと抗弁するけれども原審証人小八重正の証言によれば、右各手形は控訴人が小八重商事株式会社に対し融通を得させる目的で振出したものであることが明らかであつて、単なる融通手形については、融通者は被融通者に対しては手形金の支払を拒み得ても、他の所持人に対しては、その所持人が融通手形である事実を知つてこれを取得した場合においても、支払を拒み得ないこというまでもないばかりでなく、その他の点においても被控訴人が控訴人を害することを知りながら本件各手形を取得した事実を認めるに足りる何らの証拠もないから、控訴人の抗弁は採用できない。

二、また控訴人は原審において仮執行免脱の宣言を求めたにも拘らず、原判決がその宣言をせずまたこれに対する判断をしなかつたことは違法であると主張する。なるほど控訴人提出の前記「管轄違の抗弁並答弁書」と題する書面には仮執行免脱の宣言を求める旨の記載があり、控訴人が原審第一回口頭弁論期日に右書面に基き陳述したことも記録上明らかである。ところが原判決は仮執行の宣言を付しながら、その免脱の宣言をなさなかつたにも拘らず、その申立に対する判断を示していないのみならず、右の申立すらも事実摘示に記載していないのであるから、原審はこの点に関する判断を遺脱したものと解するほかはない。しかし仮執行免脱宣言の申立は付随的な申立にすぎず、しかもこれを容れるかどうかはもともと裁判所の自由に決し得るところであるから、一審判決にこの点に関する判断の遺脱があつても、控訴審としては一審判決を取消す要なく、控訴審判決において仮執行免脱の宣言をなすかどうかを決すれば足りるものと解すべきであるから、この点において原判決を取消すべきものとする控訴人の主張は理由がない。

(牛山 田中 今村)

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